こんばんは。前回の続きで、社会人からの大学院留学について書きます。
(絵が単調だぜ。。。)
こんばんは。今日は社会人からの大学院留学について書きます。
私は社会人になってか...
先回からの注意事項ですが、有利不利かは自分が働いている会社と行きたい大学院の専攻によって大きく変わるので、以下のすべての文章の枕に「私(筆者)の場合は…」をつけて読んでください。
社会人からの留学と学生からの留学を比較
ここでは以下の観点で、社会人からの大学院留学と学生(学部生、修士)からの大学院留学について比較&考察します。- 専門性
- アカデミックとの関わり
- 時間
- 金・経済力
- その他
専門性
自分の場合は明らかに、大学時代の方が有利な立場にあったと思います。これは日本の会社に言えることですが、会社に入る前に自分がその会社で何をやるかは知らされません。理系として入社しても、みんながみんな研究開発職につくのではなく、調達や知財、生産技術などの部門に配属されることもあります。研究開発職と一言で言っても、アカデミックな基礎研究から、商品開発まで幅広いです。もちろん会社によります。ただ、「大学院留学をする前に企業で研究をして専門性を磨くぞー」「企業に入るのは一つのステップだぜ」なんて思っていると、入社後に本当にやりたい研究につけない場合はもう方向は修正できません。異動は自分の意志ではできないので。。(当たり前だけど)。会社で働いて良かった点は会社内の人や部品メーカーの人とコネクションができたことかな。。。
しつこく言いますが、会社やその中での配属先によります。青色発光ダイオードでノーベル賞を受賞したUCサンタバーバラの中村修二教授や、タンジブル・ビッツで有名なMITの石井裕教授などは企業で実績を残して大学に行った方です。もちろん、研究実績が素晴らしい、そもそも学生じゃなくて教授としてスカウトされているので、私のケースとは天と地の差がありますが。
あと、自然科学系以外の場合は社会人経験は有利かもしれません。国連機関で勤務したとか、NPOで働いていたとか、もしくはバリバリと?サラリーマンしてたとか。そこは詳しくないですが、MBAとか公共政策大学院ですかね。
アカデミックとの関わり
学生のうちは自分がいろいろな「特権」を持っていることに気づきませんでした。まず学会。社会人になって、留学先の大学の教授と新しくコネクションを作ろうとしたら、学会に行くのが一番です。分野によっては海外の学会に行かなくても、日本で国際学会が開かれることもあります。直接顔を合わせて、研究分野のディスカッションができればこの上ないアピールだと思います。しかし、学会の参加費はめちゃくちゃ高いです。学生なら割引もあるし、研究室や大学が出してくれたりします。しかし自腹では普通は高くて払えないです。しかも平日開催。さらに留学をするためには指導教官や知り合いの教授に「推薦状」を書いてもらう必要があります。学生ならば直接お願いできますが、社会人ではメールを送ってお願いする必要があります。先生は多忙なので、書く暇がなかったり、内容を一緒に推敲してもらったり、最悪忘れていたりします。社会人になると、そのような蜜な連携が取れないところはかなり不利です。
極めつけは論文。大学生は、大学が一括で契約しているので論文をいつでもダウンロードして読めますが、大学を離れると一本ずつ金を払います。。。(しかし無料で読む術もなくはないです)
時間
これは学生も社会人も五分五分かと思います。研究室配属された学生なら、出願や勉強など自由に時間を使えます。学会や論文執筆で追い込まれることもあるので、徹夜などもありますが、それも含め自分でマネジメントできます。自由度という意味では、学生の方が有利です。
一方、社会人になると、勤務時間にルールがあるので、基本的には朝8時〜夜7時もしくは〜夜9時と帰る時間は決まっています。つまり、1日の中で拘束時間とフリータイムの区別がはっきりしています。そのため、毎日コツコツと勉強するときなどに向いています。フレックスタイムを導入している会社だと、自由度はもっと上がる。平日が確実に拘束されて、「応募書類を出すのに郵便局に行ったりできない」とか「奨学金の面接が平日」とかもあるけれど、どのときは有休を取れるので比較的大丈夫でした。郵便局に関しては、24時間空いてる窓口が家の近くにあって便利でした。
金・経済力
これは社会人の勝ち。大学院受験は予想以上に金がかかります。一回約2万円のTOEFLやGREの受験、またそれらの対策、研究室訪問のためのアメリカ旅行、受験料などです。大学院留学を目指す学生の場合は、研究室で研究をしている人がほとんどだと思います。なのでバイトなどほとんどできません。もちろん金もたまりません。私の修士時代の預金は10万円以下でした。さらに社会人になると、英語の勉強費用に対して会社補助出してもらえたりします。学生が有利だと思う点は、上でも述べた学生の「特権」に加えて、給付型奨学金に応募できることです。大学院留学には給付型の奨学金が不可欠です。日本にもいくつかありますが、一部の奨学金の応募資格に「日本の大学に所属していること」と設定されていることがあります。そのため社会人が応募できる奨学金は限られてしまいます。
これらを踏まえると、実際に手元に持っているお金は社会人の方がもちろん多いですが、社会人から大学院留学を目指した私からすれば、学生は”潜在的に”, “可能性として”リッチです。
その他
ここまでほとんど社会人不利なことをつらつら書いてきたので、良かったことを書きます。一つ目は、社会人を経由したので税金や年金の意識ができたこと。実際払っているので、なんか社会に参加している気分が出ました。と言っても、留学で日本を出ることが決まってから、図書館で本借りて勉強したんだけど。。。笑
二つ目は、基礎研究だけでなく、実際に社会に”製品”が出るプロセスを経験できたこと。大学にいたときからそのまま大学院留学してたらできないことでした。
まとめ
長くなりましたが、まとめです。社会人から | 学生から | |
専門性 | △ 研究職以外の可能性あり。アカデミックから離れるかも。 |
◯ 専門性直結 |
アカデミックとの関わり | △ 仕事による。基本離れる。 |
◯ 学会、論文など特権を利用しよう。 |
時間 | ◯ 仕事とのメリハリができる。フレックスタイムや有休もあるから、以外と平日もOK。 |
△ 自由度はある。学会や論文がなどが重なると大変なときもある。 |
金・経済力 | ◯ 学生時代と比べると金が驚くほど貯まる。勉強や自分への投資に使える。 |
△ 超貧乏。ただ、奨学金には応募できる。 |
その他 | 社会に参加できる。製品が世の中に出る。 |
長くなりましたが以上です。
ありがとうございました。